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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.49 No.421 2022.7-9 ダイジェスト

在宅医療現場における医療機器の現状と将来への展望

小倉 和也 氏
医療法人はちのへファミリークリニック理事長・院長


−−−在宅医療現場での医療機器の使用状況を教えてください。

 多く使用されるのは、在宅酸素療法で使う酸素濃縮装置、人工呼吸器、気道内分泌物吸引装置などです。特に、吸引装置はがんの末期、肺炎、高齢の方が多いので使用頻度が高いですね。吸引器にはその都度使用する型と、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や脳性麻痺等の患者さんのせき込み、誤嚥などに対応する持続吸引型があります。
 輸液ポンプは主に末期がんの患者さんなどが食事を摂れない場合、中心皮下静脈栄養で持続的に使用します。また、CADD(computer-aided design and drafting:携帯型精密輸液)ポンプは薬剤の持続投与に使用されますが、ボタン1つで薬剤が追加投与できるので一時的な疼痛治療にも使用可能です。他に、ALSのように意思疎通が難しい患者さんのための環境制御装置、視線で文字入力を行う装置、痰が出しにくい場合に補助するカフアシストなどが使われます。

−−−常に在庫は置いてあるのでしょうか。

 使用することが多い輸液ポンプやCADDポンプ、酸素濃縮装置、吸引器などは常に置いています。レンタルする場合は、業者からのレンタルと医療機関で貸し出す場合があります。身体障害者が気管内吸引装置を恒常的に使用する場合は自治体から補助金が支給されますので、それで購入していただく形になります。

−−−どのような患者さんに医療機器を使用しますか?

 末期がん、老衰、認知症、原因不明の難病など患者さんは様々ですが、やはり使用頻度が高いのは脳性麻痺やALS、筋ジストロフィーなど寝たきりの患者さんになります。慢性疾患や先天性疾患の患者さんは10年、20年と長期間使用するケースが多いですね。

−−−ここ数年、国は在宅医療を普及、推進する方向にありますが、使用している医療機器に変化は感じますか?

 疼痛治療などで使われる医療用マイクロポンプはここ20年で大きく変わりましたし、酸素療法も操作性が随分良くなりました。ここ数年はコロナ禍でもあり、モニタリング機能やオンライン診療等のICTによる情報共有が進んでいます。また、国の方針で診療報酬や補助金等の制度が変わりましたので、医療機器も使用しやすくなったと思います。

医療機器産業のリ・デザインをどのように実現するか(後編)
〜デジタルヘルス・人材育成・医療機器センターとの関わり方〜

中野 壮陛 氏
公益財団法人医療機器センター専務理事/
医療機器センター附属医療機器産業研究所所長
西海 康史 氏
第一医科株式会社
マーケティング管理部 品質保証課課長
浜田 大輔 氏
株式会社アムコ 開発部部長

−−−画像診断AIや診療サポートなど、国内のデジタルヘルスは推進されていると思われますか。

【西海】デジタルヘルスは間違いなく進んでいると感じています。デジタル技術が確立され、その技術を利用して医療が良くなることは素晴らしいことですし、今後もさらに進んでいくものと思われます。古くからある技術と新たな技術が融合して患者のQOLを向上させることで、変化する医療ニーズに対応していけるのではないかと思います。
【浜田】私は院内のヒューマンリソースの軽減や、オンライン手術などに興味があります。ICUのモニタリングでは専門医が1名常駐しなければなりませんが、地方の病院ではなかなか難しい。あるベンチャー企業はそこに注目して医療サポートサービスを始めました。地方の病院にいる看護師がモニタリングデータをベンチャー企業に配信し、そこに常駐する専門医がアドバイスするといったビジネスです。医療現場の人手不足の解消、今後増えていく在宅医療にも利用されるでしょう。

−−−デジタルヘルスを推進するための環境は整いつつあるのでしょうか。

【中野】デジタルヘルスのツールの普及には保険償還の問題は避けられません。さらにもう1つ重要なことはデータ取得のための環境整備です。デジタルヘルスとは暗黙値を計測値に置き換える行為、つまりアナログをデジタルに置き換えることに近い。今ある医療機器の使用状況を、アナログに事細かに記録を取ることは重要です。それをデジタル化することによって次の経営効率に繋がる。普及のためには保険償還が必要ではありますが、同時にデータを取得する環境をどのように作るかが鍵になります。

公正競争規約・企業倫理勉強会 講演Ⅲ
「透明性ガイドライン」 について

松本 圭 氏
日本医療機器産業連合会 企業倫理委員会 副委員長


透明性ガイドライン作成の背景

 医療機器に関する医学研究、開発、実用化、その後の改良など適正使用に不可欠な活動は医療機関や医療関係者との契約などに基づき実施されます。その際、対価として金銭の支払いが発生する場合もあり、医機連会員団体の会員企業は薬機法を始めとする関連法規の遵守、倫理綱領の企業行動憲章、医療機器業プロモーションコード、医療機器業公正競争規約など、業界の自主基準により透明性を高めるよう努力してきました。
 しかし、活動が活発になるほど医療機関や医療関係者等が特定の企業や製品に深く関与する機会が生じ、公正な判断に何らかの影響を及ぼすという懸念が出てきます。その懸念が実体となり、監査などで不正が明らかになった場合は、企業さらには業界団体が大きな影響を受ける可能性があります。企業の透明性を高めることについては当時から強く求められており、医機連でも活動における透明性の確保が重要であると考え、本ガイドラインを策定することに至りました。
 日本では、まず製薬協が透明性ガイドラインを2012年3月に策定しました。製薬業界に続いて、医療機器業界でも医機連の透明性ガイドラインが2012年に策定され、1年遅れの2013年に施行されています。

「利益相反」について

 「利益相反」(COI)とは「ある行為が、一方の利益になると同時に、他方の不利益になるような行為」のことです。法律的には様々な利益相反行為が禁止ないし制限されますが、医療の場合は特に「臨床研究における利益相反行為」が重要視されます。
 利益相反が一般的に注目された事例は、1999年の米国の「ゲルシンガー事件」が有名です。この事件は治験における患者の死亡事故ですが、治験を実施した責任者が資金提供している企業の設立者であり、この企業の株を保有していたことから利益相反が問われることとなりました。つまり、株価の上昇に目がくらんだ責任者が、危険を承知で治験を強行したとみなされたわけです。 

シリーズ 医療機器業界で活躍する女性達 第9回
会社とプライベートを明確にして仕事へのモチベーションを高める

町田 愛奈さん
株式会社セントラルユニ
コーポレートブランディング室


−−−御社は医療ガス供給、手術室分野、ICU分野など医療環境づくりを主力とされていますが、広報の担当者としてどのような仕事をされているのでしょうか。

【町田】「コーポレートブランディング室(以下「コーポレート室」)」は2021年に立ち上げられたばかりの新設部署です。私自身は社内外に向けた広報業務を担当しています。
 弊社では、医療施設はもちろん設計事務所など病院づくりに関わっている方々を顧客としていますので、そうしたお客様に向けてセントラルユニブランド、製品情報、サービス関連情報などを正確かつ魅力的にお伝えすることを業務としています。医療機器というとどうしても一般の方から「固い」とか「難しい」というイメージを持たれてしまうので、患者さんや一般の方にも興味を持っていただけるような表現を心掛けています。
 新設されたばかりの部署であるため、社内からも業務内容が今一つわからないといった声があります。そうした意見に応えるため、社内に向けた広報業務も行っています。現在、コーポレート室の取り組みをイントラネット(組織内private network)の中でブログ的に発信し、業務内容の周知に努めています。コーポレート室における私の仕事は情報発信の企画立案、コンテンツ制作などが中心です。

−−−具体的にどのような内容なのでしょうか。

【町田】コーポレート室の開設後、最初にして最大のミッションとなったのは新しいブランドコンセプトを確立していくことでした。そのため従来のブログ等を廃止してコーポレートサイトの見直し、リニューアルに取り組みました。今後はリニューアルしたコーポレートサイトを軸に様々なコンテンツを発信していきます。
 私の役割は企画を立てて、具体的なコンテンツを作ることです。現在企画しているのは「Instagram」などSNS(social networking service)を活用した情報発信です。特に、長文で想いを伝える「note」を中心に、業界や一般の方などターゲットごとにコンテンツを作り、発信をしていきたいと考えています。