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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.45 No.407 2019.2-3 ダイジェスト

医工連携医療機器の重点候補分野を選出、
医療・ヘルスケアのステークホルダーをサポート

高見 牧人氏
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)
産学連携部 部長

 欧米や日本などの先進国は、世界に先んじて医療上の課題が顕在化しています。市場規模は大きく、Value Based Healthcareの流れに沿ったアウトカムベースの医療機器が求められることになります。
 一方、開発途上国・新興国の医療機器市場は成長途上であり、まだ先進国に比べると大きくはないですが、今後の成長に伴って求められる医療のレベルが先進国型へシフトする可能性が高いですね。
 一口では言えませんが、開発途上国・新興国に対する医療機器開発に求められるのは、低コストや容易な操作性等です。今後は各国の特性やニーズをマーケティングし、そのエリアに訴求する価値に特化した製品開発が必要だと考えます。
 これらの地域においては、全く新たな技術開発を行うというよりも、むしろ、既存の医療機器技術の組み合わせで現地にマッチした医療機器開発を行うことが重要だと思います。低コスト化ひとつとっても、現地生産対応もあれば、生産技術面での工夫も求められます。GEが超音波診断機の新興国対応で行ったリバースイノベーションは有名な話で、新興国への低価格対応が先進国向けの新たなイノベーションと市場創出につながり得るという教科書的な事例でもあります。
 アジア等の新興国は経済成長とともに、少子高齢化の流れも先進国の後を追っており、海外の主要メーカーも着々と対応を進めています。我が国も、次なるマーケットである新興国をターゲットとした戦略構築にしっかりと取り組まないといけません。

医療情報UDI義務化に向けて、その意義とメリットを考える

 2008年3月28日、厚生労働省医政局経済課が通知した「医療機器等へのバーコード表示の実施について」は、3年の経過処置を経て2011年4月2日に実施された。しかし、それはあくまでも通知という形であり、現時点においても100パーセントの実施には至っていない。その間に諸外国では法制化が進んでいるのが現状である。
 2014年11月に薬機法が施行され、今年で満5年を迎えるにあたって、2018年12月25日、厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会が「薬機法制度改正に関するとりまとめ」を発表した。その中で、「高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器等を迅速に患者に届ける制度」として、下記のように「トレーサビリティ等の向上」が記載された。
 このとりまとめを含めた薬機法改定案が、早ければ2019年の通常国会に上程され、11月には施行される予定となっている。日医工UDI委員会はこうした状況を踏まえ、医療機器のトレーサビリティに関する有識者(東京医科歯科大学医学部附属病院材料部副部長の久保田英雄氏、日本医療機器販売業協会システムプロジェクト事務局長の並木秀文氏)を交えて、UDI導入の意義とメリットをテーマに対談を行った。

歴史サクラグローバルホールディング
「深耕・深化」、「専門化」で進化を遂げる
「日医工 創業100年企業の軌跡」シリーズ 医療機器発展の歴史を探る 第1回

 江戸時代から明治時代に移り、日本に怒涛のごとく西洋文化が雪崩れ込んできた。医学の世界も急速に西洋化していく中で、国内に多くの医科器械店が創業した。その中でいち早く“産声”を挙げたのが、薬種問屋の老舗「いわしや松本市左衛門店」(後のサクラグローバルホールディング株式会社)の医療器械部門である。
 医科器械店の創業が相次いだ理由の1つに薬の扱いに対する規制があった。1870年(明治3年)、政府は太政官布告を出し、薬を取り締まりの対象とした。いわしや松本市左衛門店はこの取り締まりに対応すべく、経営方針として医療器械部門を独立させたのである。こうして1871年(明治4年)、医療器械専門部門が設立され、責任者には筆頭番頭であった松本儀兵衛が就任した。
 1883年(明治16年)、儀兵衛はいわしや松本市左衛門店から独立し、医療器械の専門の「松本儀兵衛店」を設立する。さらに1901年(明治34年)、儀兵衛の妹みつと結婚した松本福松が経営を継いで「合資会社いわしや松本器械店」へと発展させた。

企業倫理公正競争規約・企業倫理勉強会が開催
公正競争規約の原則基準・寄付基準の見直し等を説明

 医療機器業公正取引協議会(以下「公取協」)日医工支部運営委員会と倫理委員会が主催する公正競争規約・企業倫理勉強会が、2月22日、東京都文京区の日中友好会館大ホールで開催された。
 公取協 三笘真指導・審査委員会副委員長は、今年1月施行した公正競争規約「原則基準・寄付基準の見直し」について講演を行った。
 「景品類提供の制限の原則に関する基準」(原則基準)の主な変更点は次の通り。
・「医療機関等」の「その他医療を行うもの」として「薬局」を追加
・「団体・学会等」について、「一般の団体」と「学術研究目的の団体」の区分を廃止
・いわゆる「3つの判断基準」を整理・統合し、新たな「団体性の判断基準」に一本化
・「学術集会等に際しての労務提供」を、運用基準にも規定
・「学術振興、社会福祉その他の公益目的で行う寄付」において、「公益性の判断基準」の記載等を削除
・「広告料」に関して、「設置管理医療機器」は一般人を対象とする広告が認められている旨を解説に追加
 「寄付に関する基準」(寄付基準)の主な変更点は次の通り。
・奨学寄付金について、「大学附属病院に所属する医療担当者等が関与する当該大学への奨学を目的とする寄付」に変更。また、「寄付講座」に関する記載を解説に追加
・「公益目的の研究会等の活動への寄付」、「医療機関等の内部の研究会への寄付」について解説を変更
・「医療機関等を開設する法人の研究部門(研究所)への寄付」の規定を新設