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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.40 No.391 2014.10-2015.1 ダイジェスト

医工連携「日本初」 「革新的」 医療機器が業界躍進につながる
硬膜外冷却カテーテルの開発をめぐって

山本 要 厚生労働省医政局経済課
医療機器政策室長

―今回は、先ごろ医療機器政策室長に就任された山本室長に今後の医療機器の展望について話をお聞きしたいと思います。最初に、国内医療産業の市場規模拡大戦略について説明していただけますか。【山本】2014年7月に政府全体で決定した「健康・医療戦略」と「医療分野研究開発推進計画」では健康長寿社会の実現に向けた医療関連産業の活性化が大きな柱となっています。医療機器に関する具体的施策として2015年までに医療機器開発実用化促進のためのガイドラインを新たに10本策定、20年までには革新的医療機器を5つ以上実用化する計画です。  国内の医療機器市場規模の目標値はKPI(達成すべき成果目標)により設定されました。2011年に2.4兆円だったものを15年には2.7兆円、20年には3.2兆円に拡大し、輸出額は11年の5000億円から20年には倍の1兆円を目標としています。―輸出額倍増に対してどのような方策を計画されていますか。【山本】厚生労働省と経済産業省、文部科学省、外務省などの関係省庁が一般社団法人Medical Excellence JAPAN、JICA(独立行政法人 国際協力機構)、JBIC(国際協力銀行)、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)、NCGM(独立行政法人 国立国際医療研究センター)などの関係機関と緊密な連携を取り、医療機器の国際展開を図っていくことになります。   輸出促進のため競争力の高い医療機器の開発も進めていく必要があります。 ご存じの通り、従来、文部科学省は基礎研究から前臨床試験まで、厚生労働省は臨床研究、臨床試験から実用化までに軸足を置き、 経済産業省は産業活性化の視点で、各省庁がそれぞれ目標を掲げて施策推進に努めてきましたが、近年は、 医療機器開発を一層加速化させるため、3省庁が連携を取ることが多くなりました。オールジャパンで医療機器開発を推進するために、 各省が積極的に議論を行い、「次世代医療機器開発推進協議会」という各省横断的な組織も設立されました。

海外情報米国の医療保険制度の現状と日本の保険制度、医療機器開発の行方

渡辺 幸子株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
代表取締役社長 

―日本と米国の医療保険制度は大きく異なります。 米国の公的医療保険には「メディケア」と「メディケイド」があり、メディケアでは 医療費削減政策の一環として「DRG/PPS」 (診断群別分類/診断群別包括支払い方式)が導入されています。 米国の現在の公的医療保険の運営、財政状況などについてお聞かせください。【渡辺】メディケアは連邦政府、メディケイドは州政府の所管の公的医療保険ですが、両方ともに財政的に厳しい状態が続いています。特にメディケイドは貧困層が加入する保険ですが、病院にとっては採算が取れないほど低い診療報酬です。高齢者や障害者を対象としたメディケアもメディケイドほど厳しくはありませんが、約5,500施設ある米国の病院の中で株式会社として経営する約1,000施設はメディケイドやメディケアの患者の受け入れを最小限にするため、これらの患者が多い町の中心部でなく、富裕層の多い郊外を建設ロケーションとして選択する状況があります。   急激に高騰する医療費削減のためメディケアにDRG/PPSが導入されたのは1983年です。 40年を経過した今、一入院当たりの医療費は確かに減り、医療の外来化も進みましたが、国民医療費全体を抑制する歯止めがかかったわけではありません。 人口増や高齢化、疾病構造の変化に加え、医療技術の進歩に伴う高額な新しいテクノロジーの導入が、 医療費全体を押し上げてしまったからです。米国の医療費高騰の50%以上が、医療技術の発達が原因だと指摘している経済学者もいます。

安全管理 第2回「医療機器の安全管理を考えるシンポジュウム」開催

2014年12月4日、東京・千代田区の科学技術館サイエンスホールで医療機器センター・日医工共催の「医療機器の安全管理を考えるシンポジュウム」が開催された。2012年3月の第1回に続く第2回目の開催で、医療機器センターと日医工が共同で調査を行った「第2回治療機器・施設関連機器に関する安全管理実態調査」の詳細な解説を中心に、医療機器の安全管理についてさまざまな講演が行われた。実際に医療機器を使用している立場から医師、看護師、医療機器安全管理責任者(以下「管理責任者」)が、医療機器の安全管理の実態と課題を講演し、最後に参加者全員で総合討論を行った。
  医療機器センターの菊地眞理事長の開会挨拶に続き最初に行われたのは、虎の門病院の玉井久義麻酔科部長・手術部部長の「(特別講演)医療機器の安全管理」。 玉井氏は以前勤務していた東京大学医学部附属病院での安全管理の取り組みについて紹介している。 添付文書はPDF化し院内専用ホームページにアップし、職員がいつでも閲覧できる環境に整備。 安全性情報の収集と報告は管理責任者が担当し、病院長と医療安全対策室、そして必要とされる部署にメールで送る体制を整えた。 保守点検は複数の臨床工学技士が担当するため技術、判断基準、保守記録を標準化し、 「保守点検マニュアル」、「保守点検記録(チェックリスト)」によって管理するなどの取り組みを積極的に展開したという。

イベント日医工新春賀詞交換会
関係省庁よりご参加いただき、医薬品医療機器等法に言及

平成27年1月7日、午後6時よりパレスホテル東京(大手町)の山吹にて日本医療機器工業会主催の新春賀詞交換会が行われた。本年は薬事法の名称が変わった最初の年であり、「医薬品医療機器等法元年」という言葉があちこちで聞かれた。
 松本謙一理事長による開会の挨拶の後、最初に来賓挨拶に立ったのは自由民主党衆議院議員の鴨下一郎氏。鴨下氏は、本年薬事法が医薬品医療機器等法に名称が変更になったということについて述べ、医療機器業界の今後の発展に大いなる期待感を持つと締めくくった。次は同じく自由民主党衆議院議員で法務大臣を務める上川陽子氏が壇上に立った。上川氏は「優れた医療機器を国民に迅速かつ安全に届けるための議員連盟」の中心的な人物。社会保障制度や医療機器について深い関心を持ち、病院や医療機器企業に積極的に訪問している。上川氏は国民の健康を守るためには医療機器の開発はたいへん重要であると語った。3番目に挨拶したのは自由民主党参議院議員で文部科学副大臣の藤井基之氏。薬剤師、薬学博士でもある藤井氏は、医療の研究開発について言及。医薬品にしても医療機器にしても大学など研究機関の役割が大きいと語る一方で、臨床との関わりの重要性を述べた。  厚生労働省からは医政局局長の二川一男氏、医薬食品局局長の神田裕二氏が挨拶された。医薬品医療機器等法と名称も変わったので、これまで以上に医療機器の承認審査を迅速にしたいと語る。また、厚生労働省の相談窓口をもっと活用し、互いに円滑な審査を目指しましょうと企業側に訴えた。