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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.44 No.403 2018.2-3 ダイジェスト

インタビューISO/TC121/SC3中間会議が日本で開催
中間会議の役割は変化・進化し続ける規格への対応

大村 昭人氏
日医工ISO/TC121国内委員会 委員長
ISO/TC121/SC3国際会議 議長
帝京大学医学部 名誉教授

 初めに、改めてISO/TC121/SC3(麻酔器および呼吸器関連:TCはTechnical Committee、技術委員会)国際会議の役割をご説明します。医療機器の性能と安全性は全てISO規格とIEC規格で規定されており、これに適合しないと世界各国の許認可を取得できないため、輸出ができなくなります。わが国の場合、国際規格が制定されると、それを翻訳してJIS化を図るとともに、後追いで自国製品に適合させることに努めてきました。しかし、現在ではISO、IEC(International Electrical Commission)規格作成に積極的に関わって、その規格をJISとして導入する方向に変わってきています。
 世界の市場で競合製品と対等に競う製品を開発するためには、国際規格の作成作業に最初から関わり、自国に有利な規格作りを行うことが必要です。ISOやIECの国際委員会には企業に加えて、FDA、BISなど各国の認証機関の代表、ユーザー側として医療の専門家などが互いに意見を戦わせる場となっています。日本も国家政策として国際規格作成に積極的に参加するよう経済産業省を中心として国が後押しをしてくれています。
 国際会議総会は、2018年5月にスウェーデンのルンド、2019年5月には神戸、2020年にはロンドンで開催される予定です。中間会議は年1回世界各国で開かれる国際会議総会時に併催、その他に1回と原則的に年2回開催されます。

トピック「単回医療機器再製造推進協議会」が発足
行政の窓口機能、単回医療機器再製造の啓発を推進

 協議会発足に伴い、2月2日、日本橋ライフサイエンスビルディング(東京都中央区)大会議室において、専門メディアや一般メディアを招いて発足記者発表を行った。
 冒頭に松本会長が協議会の基本方針を述べ、この後、最高顧問兼特別会員の武藤正樹氏、同じく上塚芳郎氏、副理事長の佐伯広幸氏、同じく佐々木勝雄氏が講演を行った。
 松本会長は協議会が担う4つの大きな目的「貴重な医療資源の有効活用」、「安全管理」、「環境保全」、「経済性」について説明した。以下大要。
 1つ目の「貴重な医療資源の有効活用」としては、その背景に次のようなものがある。現在、医療費の削減は喫緊の課題である。そのため、全国42カ所の国立大学では医療材料や医療機器、医薬品などの共同購入化、あるいは都立病院などの特別行政法人化などを進めている。このような動きにより医療機関、医療機器産業双方で厳しい状況となっている。そういう意味からも単回医療機器の再製造は注目される。
 2つ目の「安全管理」は、たぶん今もどこかの病院内で滅菌期限切れ製品の洗浄滅菌が行われていると思うが、安全性の面でそうしたことを防ぐために必要なことである。
 3つ目の「環境保全」は、当然、医療廃棄物の削減により環境を守るという意味である。数十万円もする手術用の医療材料が1回の使用で廃棄される。その医療廃棄物はどこに行くのか。再製造によりこうした医療廃棄物も削減できる。
 4つ目の「経済性」は、医療費を有効に使うためには、なるべく無駄を省く必要がある。そのためには1回で廃棄されてしまう医療材料、医療機器の再製造は非常に有効な方法である。ただし、再製造品がどのように保険償還されるのかが、今後の課題だと思う。

講習会公正競争規約・企業倫理勉強会が日中友好会館で開催

 2月16日、東京都文京区の日中友好会館大ホールで、医療機器業公正取引協議会(公取協)日医工支部運営委員会と倫理委員会が主催する「公正競争規約・企業倫理勉強会」が開催された。
 1つ目のテーマは公取協の関根順市専務理事による「『独禁法違反事件』について」。最初に昨年2月開催の「公正競争規約等勉強会」で講演した公正取引委員会の立入検査の傾向と対策について復習した後、平成28年度の独占禁止法違反事件の類型的分析を行った。
 この後、「『規約違反事例(貸出し、立会い等)』について」と「医療機器業プロモーションコードについて」の2つのテーマで講演が行われた。
 公正競争規約(以下「規約」)とは、顧客を誘引するための手段として自社が取り扱う製品の取引に付随して、相手方に提供する「景品類(物品、金銭、便益労務などの経済上の利益)」を規制するルールである。
 規約に違反した場合、公取協からどのような措置を受けるかについて説明する。規約第9条ではまず、違反に対する調査について次のように規定している。①公取協は、第3条の規定に違反する事実があると思料する時は、関係者を招致して事情を聴取し、関係者に必要な事項を照会し、参考人から意見を求め、その他その事実について必要な調査を行うことができる、②事業者は、前項の規定に基づく公取協の調査に協力しなければならない、③公取協は、調査に協力しない事業者に対し、当該調査に協力すべき旨を文書をもって警告し、これに従わない者に対しては、10万円以下の違約金を課し、または除名処分をすることができる。

啓発教育山口大学教育学部附属光中学校の生徒が
日医工会員企業のショールームを見学

 3月14日午後、山口大学教育学部附属光中学校の生徒が日医工の会員企業のショールーム3カ所、第一医科「ENT+」、セントラルユニ「マッシュアップスタジオ」、サクラファインテックジャパン「さくらぼ」を見学、医療機器について熱心に学んだ。
 見学したのは同校2年生の男子3名、女子3名の計6名で、修学旅行に伴う訪問活動として訪れたもの。同校第2学年では「総合的な学習の時間」において、「明るい未来をつくろう」というテーマの下、個人研究を行っている。その一環として医療機器を学ぼうということから、同校より日医工に依頼が来た。日医工はこれを快諾。それならば、より興味を持って学んでもらうために、と会員企業が開設しているショールームで、実際に医療機器を体験してもらうこととなった。
 生徒たちは3日間、東京に滞在し、14日の午前中は飯田橋の東京新宿メディカルセンターで医療現場を見学し、呼吸器の専門医から直接話を聞いたという。女子生徒の1人は「私は医師を志望しているので、すごく参考になりました。日頃見ることができない場所を見たり、お医者さんに直接お話をお聞きできましたが、実際の医療機器には触れることができなかったのがちょっと残念でした。だから、午後から医療機器の会社におうかがいして、いろいろ体験できるのがすごく楽しみです」と胸を高鳴らせていた。