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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.41 No.395 2015.10-2016.1 ダイジェスト

取材「ものづくり」推進のための「ひとづくり」

南 正人 氏一般社団法人 日本医療機器学会 理事
第91回日本医療機器学会大会長
大阪大学医学部付属病院 手術部 部長・病院教授

―第91回日本医療機器学会大会が来る6月23日から3日間、大阪で開催されます。まず、今回の大会テーマ「“ものづくり”と“ひとづくり”で次世代の医療を拓く」について企画意図をお聞かせください。【長谷川】【南】 日本医療機器学会は産学連携による医療技術、機器の改良開発ならびに医療安全の発展に寄与し、医学・医療の質の向上、健康と福祉に貢献することを目的として活動しています。その中でも医療機器という「ものづくり」に関わるテーマは、日本医療機器学会の基本となるものです。医療現場において必要な「もの」を調査・開発し、医療機器として商品化、さらに改良・改善を進めることは産学連携の組織体である本学会が先頭に立って行うことであると認識しています。
一方で、「ものづくり」を推進するためには、それを行う「ひと」の存在が必要です。これまでも本学会は滅菌技士(技師)やMDIC(医療機器情報コミュニケータ)の育成などを行ってきました。将来的にはさらに大きく育て、有機的に運用することが重要だと考えています。加えて、今後は医工連携をより積極的に進めるために、“医”と“工”を強力に結びつける人材の発掘や育成も行っていく必要があると思います。そうした意図から今回のテーマに決定いたしました。もう1つの大きな理由としては、本学会の存在意義に対する認識不足への危機感があります。本学会の最も大きなコンセプトは「ものづくり」です。しかし、実際に「ものづくり」に対して本学会がどのように関与しているのか、外からは見えにくくイメージが伝わっていないのが現状だと感じています。

医工連携 これからの医工連携事業に対する課題と抱負

植竹 強 氏一般社団法人 日本医療機器工業会 副理事長

私が活動をスタートした当初は、医工連携に対しての考え方も固まっていなかったし、特に手段も考えていませんでした。“走り続けて”行く中でそうしたものは定まっていくだろうと思っていました。
最初に頭にあったものは「今ある技術が医療機器開発にどう応用できるか」というおおまかな考え方でした。また、東北6県を対象地域にした理由ですが、産業の層も構造もそれほど複雑ではなく、それ故にかえって一般的な産業でも産業化がしにくい地域であったためです。そうした地域であるからこそ、新たな産業を立ち上げることを地元でも望んでいるだろうと考えました。最終的には東北6県に新潟を加えて7県となりました。
初めは医療機器産業の素人である相手に、どれだけ自分の考えが伝えられるか、理解してもらえるか、己れの力量を試すような気持ちでスタートしました。そして何社か話をするうちにいくつかの特徴が見えてきました。まず、面接する企業のほとんどは医療機器産業に非常に興味を持ち、参入したいという意向を示します。しかし、とりあえずは今やっている仕事をこなすことが精いっぱいでというような近視眼的な見方しかできない企業ばかりでした。また、技術面でも限定されたものが多く、医療機器開発の考え方はある程度理解できても、具体的に応えられない企業が多かったですね。

ロボット技術新テクノロジーの応用で
新たな医療機器の創出を

比留川 博久 氏國立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研
ロボットイノベーション研究センター 研究センター長

平成25年度から5年計画で実施している「ロボット介護機器開発・導入促進事業(開発補助事業)」は、経済産業省が事業主体となりAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)が管理している事業です。「高齢者の自立支援」と「介護者の負担軽減」に資するロボット介護機器の開発・導入を促進するために、「開発補助事業」と「基準策定・評価事業」を実施しています。
 開発補助事業は、実際に開発を行うメーカーに対して開発費の補助を行うものです。重点分野として「介護現場のニーズを踏まえてロボット技術の利用が有望な分野」である8分野を特定し、その分野に対する開発を行う企業に対して補助を行っています。
 1分野に対して多くても20社ほどを採択。それを毎年、ステージゲート方式で評価して振い落とし、最終的に各分野1~2社を残す方針で行っています。1分野に与えられる開発期間は2~3年間で、既に期間が終了している分野もあります。
 基準策定・評価事業は当産総研が代表で委託を受けて行っている事業で、機器開発に必要とする安全性と効果のアセスメント手法や検証方法、倫理審査等の「実証プロトコル」を確立することを目標として実施しています。ステージゲート評価で残っている有望な案件についてご説明します。平成25年度に設定した介護施設向けの重点分野として「移乗介助」、「移動支援」、「排泄支援」、「認知症の方の見守り」があります。

研修施設病院づくりのアイデアを生み出す最新説の
プレゼンテーション施設

マッシュアップスタジオ
株式会社セントラル ユニ
 

今回からスタートする連載シリーズ「会員企業研修センター訪問」。第1回目は株式会社セントラルユニの「マッシュアップスタジオ」(東京都文京区湯島2丁目21-25 SKYビル)。湯島天満宮の近くに立つモダンなビルである。  マッシュアップスタジオは1~5階までの5つのフロアで構成される。
1階【リアルシミュレーションフロア】新しい医療ガス供給システム“uniline”が体感できる。治療環境に沿った医療ガス供給の在り方をユーザーである医療スタッフからヒアリングして、全体の医療ガスの流れや機能が一目でわかるシミュレーションを行うツールも用意。
2階【SKYLUXメディカルライティングラボ】医療用照明と空間を提案する山田医療照明株式会社のショールーム。最新の無影灯や医療用LEDの演色性が体感できる。
3階【AGITO】ICTを駆使した事例ブラウジングツール(同社が携わった事例の写真や図面、病院の基本情報等を閲覧するツール)を用いて、病院づくりのヒントになる情報を提供する。
4階【サイバーシミュレーションフロア】手術室内やフロア全体の仕様を検討する際に、同社がカスタマイズ・開発した3Dのシミュレーターを活用し、寸法や色、設備機器の種類や位置などリアルタイムで体感できるスペース。各種イベントやセミナーを開催する場でもある。
5階【リアルシミュレーションフロア】設計段階・施工段階・開院後のどの時点においても顧客の要望に合わせた最適化が実現できる可変型手術室や、輻射熱空調を採用し快適性とエコを追求した手術室空調システムが体感できる。


4階/サイバーシミュレーションフロア

5階/リアルシミュレーションフロア