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日医工ジャーナル ダイジェスト

Vol.41 No.393 2015.4-6 ダイジェスト

医工連携医療機器産業の発展には
ビジネス構造の転換を

江崎 禎英経済産業省商務情報政策局
ヘルスケア産業課長

―2015年4月に経済産業分野から医療政策の舵を取るヘルスケア産業課長に就任されました。まず、国民医療費が増加し続けている現状に対し、経済産業省としてどのように捉え、どのように対応するのかという点についてお尋ねしたいと思います。【江崎】 現在、日本の国民医療費は40兆円を超えて増加の一途を辿っていますが、経済産業省から見れば40兆円が多いか少ないかという点は重要ではありません。年間の国民医療費が40兆円ということは、それだけ多くの資金が国内に流通していることを意味しています。しかも、この市場は今後確実に成長していくことが期待されていますから、貴重な成長分野と見ることもできるのです。さらに、国民医療費の40兆円が新たなビジネスを生む魅力的な市場を形成しているのであれば、60兆円、100兆円と拡大することはむしろ歓迎すべきかもしれません。また、仮に成長分野でなかったとしても、その40兆円が患者にとって必要不可欠なサービスを提供しているのであれば、如何に安定的にその原資を確保するかという議論をすべきです。しかしながら、現状を見る限り、国民医療費の40兆円が「有望な成長市場」を形成しているかと問われれば、残念ながら「否」と答えざるを得ません。私はこれまで3年間、生物化学産業課長として医薬品や再生医療の分野に携わってきましたが、医薬品は著しい「輸入産業」でした。医療機器も同様に輸入産業です。勿論この点に関しては様々な反論があることは承知していますが、貿易統計上は大幅な輸入超過であり、この分だけ国富が海外に流出していることは厳然たる事実です。かつて社会の教科書で習ったとおり、日本は原材料を輸入し、それを加工して付加価値の高い製品を輸出することで経済が成り立っています。この構造は今も全く変わっていません。世界的に見ても医療は最も付加価値が高い産業分野です。世界に冠たる技術力を持つ日本が、医薬品や医療機器という高付加価値分野で競争力を有していないのは何故なのでしょうか。

イベントメディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2015
第5回目を迎えた「医療用機器・要素部品パビリオン」
出展社62社が医療機器企業と盛んに商談活動

去る5月28日(木)~30日(土)、パシフィコ横浜展示ホールDで「メディカルショー ジャパン&ビジネスエキスポ2015(第90回日本医療機器学会大会併設機器展示会)」が開催された。同展示会の特設エリアにおいては今年も、日医工が共催する「医療用機能・要素部品パビリオン」(主催:(株)インテリジェント・コスモス研究機構=ICR)が併設され、計62社の“ものづくり企業”がブースを構えた。各ブースには医療機器メーカーが多数訪れ、熱心に商談を行う場面がそこかしこで見られた。
同パビリオンは、2010年7月に日医工とICRが中心となって開催した「第1回ものづくり医療機器交流会(東北編)」から発展的に企画されたもの。第1回が今回と同じパシフィコ横浜(2011年6月2~4日。出展社数49社)で、以降、第2回札幌(2012年6月7~9日。40社)、第3回パシフィコ横浜(2013年6月6~8日。58社)、第4回新潟(2014年6月12~14日。66社)と毎年開催し、今年は第5回となった。
今回の出展社は62社。分野別内訳は機械装置11社、金属加工18社、樹脂加工6社、受託開発3社、受託製造5社、センサー・計測器4社、ゴム製品3社、表面処理2社、ソフトウェア開発1社、プレス加工1社、その他7社となった。
都県別内訳では静岡県の18社を始めとして、新潟県8社、長野県と群馬県が各7社、青森県6社、岩手県と山形県が各5社、秋田県3社、埼玉県2社、神奈川県1社という分布である。前回出展の宮城県と福島県に代わって、今回は北関東の群馬県と関東の埼玉県が新たに出展した。

在宅医療 患者の家族も使う在宅用医療機器の必須条件は
「使いやすさ」と「コンパクト」
訪問看護ステーション「ホームケアー」 株式会社ミレニア

岩間 勉 氏 氏取締役 執行役員 訪問看護事業部 部長
川野 潤子 氏訪問看護事業部 係長 看護師
小林 麻奈 氏訪問看護事業部 係長 看護師

「一般の方の中でも、訪問看護師は“医療的処置”のみ行う専門の医療職という認識が根強くあります。これを払拭しなければならない。そのためにも弊社の訪問看護をさらに強く打ち出していかなければならないと思います」と話すのは、訪問看護事業部係長で訪問看護師を束ねる小林麻奈氏だ。長く病棟看護師を務め6年前に訪問看護師に転身した。
 小林氏によれば在宅医療における訪問看護師の役割には大きく3つの柱があるという。1つ目が『看護アセスメント』、2つ目が『医療的処置』、3つ目が患者および家族に対する『指導・教育』。「当ステーションではこれを常に意識した訪問看護を実践しています」。看護アセスメントとは、患者に関する様々な情報を収集・分析し、自立した日常生活を営めるよう解決すべき課題を把握することである。
 訪問看護は患者の主治医(病院医師または地域のかかりつけ医)から各地のステーションに依頼される。『ホームケア』では訪問看護を依頼されると、まず患者本人と家族、医師、地域のケアマネージャー全員で看護方針を話し合う。その際に使用するのが「アセスメントシート」だ。「シートには家族構成から疾病とその重症度、治療歴、延命を希望するかどうかまで細かく記入します。項目は26に及びます」。このシートを基に様々な症状の変化など“医療的リスク”を予測し、今後どのような看護を行い、自立を支援するのかを全員で検討し「ケア内容表」を作成する。「その一方で『終了計画』も作成します」と言うのは、小林氏と同じく訪問看護事業部係長で管理者の河野潤子氏。河野氏は10年前まで病棟看護師を勤めていた。

委員会活動「公正競争規約等勉強会」が5月22日、日中友好会館で開催

医療機器業公正取引協議会日医工支部運営委員会が主催する“公正競争規約等勉強会”が去る5月22日、文京区後楽の日中友好会館大ホールで開催され、日医工の会員企業から95名が参加した。このうちの6割以上は規約インストラクターであった。
 冒頭、公取協支部の武井和之部会長が、「企業のコンプライアンスが絶対に無視できない状況にある現在、みなさんの活動が会社を守っているという意識を持って、この勉強会に参加することが大切です」と開会挨拶を行った。続いて、公取協日医工支部の横野治委員長が同委員会の活動内容を紹介したのち、「会社という組織、自分、そして家族を守るために、時代とともに変わるルールを知り守っていただきたい」と公正競争規約の重要性を強調した。
 勉強会の1つ目のテーマは“景品表示法改正について”。講師は公取協の山下孝専務理事が務めた。平成26年、公正競争規約のベースとなっている景品表示法の改正が2回行われたが、「その背景として、25年以降、ホテルやレストランで食品やメニューにおいて多発した不当表示の問題があります。これに対処するため改正が行われました」と説明した。
 今回の改正で事業者が行わなければならない措置は以下の通り。①景品表示法の考え方の周知・啓発、②法令遵守の方針等の明確化、③表示等に関する情報の確認、④表示等に関する情報の共有、⑤表示等を管理するための担当者等を定めること、⑥表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること、⑦不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応。「これら7項目の事項に沿うような具体的な措置は、事業者の規模や業態、取り扱う商品または役務の内容等に応じて、事業者が設定することになっています」
この改正は平成26年12月1日に施行された。